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こども記者の記事

水月湖の奇跡に驚き 7万年の歩み理解

掲載日:2018年11月25日
7万年分の水月湖の年縞をじっくり観察するこども記者=若狭町の県年縞博物館(東村淳悟撮影)

 若狭(わかさ)町と美浜(みはま)町にまたがる三方五湖の一つ、水月湖(すいげつこ)。五湖の中で最も大きなこの湖は「奇跡(きせき)の湖」と呼(よ)ばれ、世界的に注目を集めている。水月湖の何が特別なのだろう。福井新聞のこども記者たちが取材に向かった。(宇野和宏)

 到着したのは9月に開館したばかりの県年縞(ねんこう)博物館(若狭町)。「年縞っていう言葉を知っているかな?」。記者たちを出迎えた学芸員の北川淳子さん(53)が水月湖の「秘密」を解説してくれた。
 湖の底には、砂や泥、落ち葉などが積もる。春から夏にはプランクトンの死がいを含む黒っぽい土、秋から冬には白っぽい粘土が降り積もり、独特の縞(しま)模様を作る。このような模様が「年縞」だ。1年に「黒」と「白」の一対で形成される年縞の厚さは平均0・7ミリ。水月湖の底には、時代にして7万年分、厚さ45メートルの年縞が堆積している。
 博物館の2階では、水月湖の底から取った年縞を、ドイツの技術者が樹脂で固めてつないだ長さ45メートルの実物標本を展示している。LED照明で縞模様が浮かび上がり、記者たちからは「きれい」と歓声が上がった。「手前が昨年2017年、ずっと向こうが7万年前の年縞。みんなが生まれた年の年縞はどこかな?」。北川さんが問いかけると、記者たちは食い入るようにのぞき込んでいた。
 水月湖には直接流れ込む大きな川がなく、周囲を山で囲まれているため湖面は静か。湖底には酸素がなく生物がいないため、堆積物がかき乱されない。しかも、近くを通る断層の影響で湖底が毎年少しずつ沈んでいる。つまり、年縞が積もり続けても湖は埋まらない。水月湖が「奇跡の湖」と呼ばれるのは、こうした条件がすべてそろっているからだ。
 年縞は、網走湖(北海道)や深見ノ池(長野県)など国内外でいくつか確認されているが「7万年もの連続した年縞は世界で水月湖だけ」と北川さんが教えてくれた。
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 年縞は過去の出来事を教えてくれる「タイムマシン」だ。例えば年縞の中に火山灰が見つかれば、何年前にどのような噴火があったか分かる。北川さんが、7253年前の厚さ約3センチの年縞を指さし「九州の南の海底火山で起きた巨大噴火の火山灰。当時、九州は壊滅状態になったとされますが、遠く離れた水月湖にも灰が飛んできたんですよ」と明かすと、記者たちは驚いた表情を見せていた。
 水月湖の年縞は地質学の「時計」としても用いられている。国際チームの研究者たちは、年縞に含まれる葉の化石を採取し「炭素14」という物質の量を測定した。化石や土器に含まれる「炭素14」の量と、水月湖のデータを比べることで、いつの年代のものか分かるようになった。北川さんは、多くの研究者の努力によって、水月湖の年縞が世界標準の「ものさし」に採用されたことを説明した。
 こども記者たちは、スマートフォンのような年代測定器を、ナウマンゾウの歯やクロマニョン人の頭骨化石(ともに複製)にかざして、正確な年代を測るコーナーも体験し、水月湖の年縞の意義について理解を深めていた。
 見学を終えたこども記者に北川さんは「古文書だけでは分からない大昔の風景が年縞によってくっきり見えてきた。過去の気候変動を調べることで未来を予測することもできる。世界の研究者が注目する水月湖の年縞に皆さんも興味を持ってね」と呼び掛けた。

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