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こども記者の記事

こども記者 越前市の工房取材

掲載日:2016年06月26日
熱した鋼をハンマーでたたいて包丁の形をつくる工程を見学するこども記者たち=越前市余川町のタケフナイフビレッジ(杉本拓磨撮影)

甲高い音、火花… 職人の熱意「すごい」

 福井県の伝統産業の一つ「越前打刃物(えちぜんうちはもの)」。今回の福井新聞「こども記者」活動は、越前市(えちぜんし)余川町のタケフナイフビレッジを訪(おとず)れ、700年の歴史を持つ刃物(はもの)作りの現場を取材。世界で高い評価を受ける切れ味の秘密(ひみつ)や伝統を守る職人の熱意に触(ふ)れた。ペーパーナイフ作りにも挑(いど)み、ものづくりの魅力を体感した。(宇野和宏)【こどもタイムズに関連記事】

 そば切り、寿司(すし)切り、白菜切り用…。記者たちの目に飛びこんできたのは、壁(かべ)のショーケースにずらりと並んだ、包丁や鎌(かま)など70種類以上の刃物(はもの)。タケフナイフビレッジ協同組合の戸谷(とや)しのぶさん(47)は「刃先(はさき)の向きや刃(は)の素材がそれぞれ違(ちが)い、お客さんが使いやすいよう工夫しています」と教えてくれた。
 越前打刃物(えちぜんうちはもの)は、昔ながらの製法を受け継ぐ職人が一本一本、手作りで仕上げている。「機械で型抜(かたぬ)きした包丁と違(ちが)い、よく切れ、丈夫(じょうぶ)なのが特徴(とくちょう)」と戸谷さん。手入れすれば20~30年使えるそうだ。
 後継者(こうけいしゃ)不足や大量生産の安い包丁に押され、手間暇(てまひま)かけた越前打刃物は一時、衰退(すいたい)した。越前打刃物(えちぜんうちはもの)の伝統を守り未来へつないでいこうと、1991年に打刃物(うちはもの)会社10社が集まり同組合を結成。デザイナーとコラボした包丁など新たなデザインにもチャレンジし、反響(はんきょう)を呼んだ。
 93年には、いくつもの会社が集まった共同工房のタケフナイフビレッジも完成。切れ味や美しい波紋模様(はもんもよう)が人気を呼び、現在はドイツやイギリスなどにも販売している。戸谷さんは「全国から集まった若(わか)い職人さんもたくさんいますよ」とうれしそうだった。
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 敷地内にある体験施設で、鍛冶(かじ)職人の池田拓視(いけだたくみ)さん(31)が、鋼(はがね)を2枚(まい)重ねて薄(うす)く打ち延(の)ばす越前打刃物独自の技「二枚(まい)広げ」を披露(ひろう)してくれた。重ねることで熱した鋼(はがね)の温度が下がりにくく、より薄(うす)く延(の)ばすことができ、切れ味が増すという。
 約800度の炉(ろ)で熱して真っ赤になった長方形の鋼(はがね)を、長年の経験を頼(たよ)りに向きを調整しながら専用(せんよう)の機械のハンマーでたたくと、あっという間に包丁の形に。「カン、カン、カン」と響(ひび)く甲高(かんだか)い音と飛び散る火花の迫力(はくりょく)に、記者たちは圧倒(あっとう)されたように見入っていた。
 形になった包丁を磨(みが)き、鋭(するど)さを増すのが「研ぎ」の工程だ。研師(とぎし)の戸谷祐次(とたにゆうじ)さん(40)が、高速で回転する砥石(といし)に包丁を当てると、つやが増してきた。早速、トマトやタマネギで切れ味を実演。研(と)ぐ前は、力を込めないと切れなかったトマトが、包丁の重みだけで簡単に切れるほどになった。林希美(はやしのぞみ)記者は「家の包丁と全然違(ちが)う」と、目を丸くさせていた。
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 記者たちは、池田さんと戸谷(とたに)さんの指導でペーパーナイフ作りにも挑戦(ちょうせん)。長さ約20センチ、幅(はば)約5センチの銅板をハンマーでたたき内部の組織を細かくして強度を高めた後、思い思いの形にはさみで切断。やすりで形を整え、約1時間半かけて完成させた。稲継正幸(いなつぐまさゆき)記者は「思ったような形にするのが大変。毎日、刃物を作っている職人さんはすごい」と感心していた。
 同組合は包丁作り教室も開いている。結婚式(けっこんしき)の贈(おく)り物(もの)用に作りに来る人が県外を中心に増え、この4~5年で1500人以上訪(おとず)れたという。「包丁は幸運の道を切り開く開運効果があるといわれています」と戸谷(とや)さん。こども記者は、古里の伝統産業の人気ぶりに、ちょっと自慢げな表情だった。

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